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小林信彦■ 昭和のまぼろし――本音を申せば

20060908syuwanokobayashi

小泉首相を評して、ナルシンズムとサディズムのかたまりという批判がある。それはその通りなのだが、要するに〈幼児性〉の発露ではないか。

鏡を眺めて、おのれの姿にウットリする。ホメられると喜ぶが、少しでもケナされると、ネチネチと恨む。弱い者を徹底的にいじめ抜く。これが幼児性。〔略〕

小泉首相は六十を過ぎて、幼児性を保っているレアケースで、オペラを観ても、相撲を観ても、感想は「感動した!」で、実に単純、わかり易い。

若い人たちの中には幼児性の強い人が多く(「おたく」がその一例)、首相の幼児性が彼らの中で屈折している幼児性を魅了した。〔略〕

〈郵政改革に賛成かどうか?〉

〈この小泉を支持してくれるか?〉

実にわかり易いワンフレーズである。これをくりかえされると、若者は洗脳されてしまう。それはファシズムではないかといわれれば、そうだとぼくは答える。

右傾化ではないか、という問いに、知人の右翼が困っているとコメントする人がいた。これは右傾化ではないフアツショ化であると。

――「幼児性の台風

■ 昭和のまぼろし――本音を申せば|小林信彦|文藝春秋|200604月|ISBN4163680705

★★★

《キャッチ・コピー》

なぜ「昭和の風景」がわれわれをひきつけるのか。街が変わり、ひとが変わり、時代が変わる。昭和とはどんな時代だったのか。「週刊文春」好評連載エッセイ最新刊。

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