立川談四楼■ 大書評芸
そもそも書評とは一体何であろうかと。それを探るべく、ありとあらゆる書評に目を向けた。もちろんいいものもあるが、多くは単なる提灯記事であり、やっつけ仕事であることがわかった。無署名でアラ筋だけというのもあり、自惚れとは恐ろしいもの、これなら勝てると思った。(……)
大間違いだった。いや志は悪くないのだが、現実が嫌応なく立ちふさがるのだ。これだと思った本がよくハズれ、あわててもう一冊読んだら大ハズレで……そうなるとパニック、〆切は迫り、何度ナナメ読みのやっつけ仕事という誘惑にかられたことか。で、ヘトヘトになった挙句の報酬がまた安いんである。
ならやめればいいじゃないかというのは今度は読者の間違いで、そこが持ったが病というやつなのである。書店で、オレを見殺しにするのかと棚から囁かれてごらんなさいあなた。どうしたってねえ……。
■ 大書評芸|立川談四楼|ポプラ社|2005年03月|ISBN:459108602X
★★★
《キャッチ・コピー》
当代随一の手練れが、一席ずつ料理する。こんな贅沢な話があっていいのかしら。涙と怒りとユーモアと。書物をめぐる連続独演会へようこそ。
《memo》
読みたい気にさせる無類に明るい書評集。
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