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浅田次郎■ 憑神

20060923tukigamiasada

「おまえも、九頭講も、伊勢屋も、神々はみな力がござるが、人間のように輝いてはおらぬ。死ぬることがなければ、命はけっして輝きはせぬのだ。しかし、わしの命にはまだ輝きが足らぬ。

必ず、この残された命を必ず光り輝かせるゆえ、今少し時をくれ。そう長くは要らぬ。せめて半年、いや、三月か四月でよい。どうかわしのわがままを聞いてくやれ」

死神の涙は滂沱と彦四郎の腕を伝った。なにゆえ神が嘆く。それは彦四郎の思い至った結論に、あやまりがないからだった。

人間が全能の神に唯一まさるところがあるとすれば、それは限りある命をおいて他にはあるまい。限りあるゆえに虚しい命を、限りあるからこそ輝かしい命となせば、人間は神を超克する。その真理を聞いて、死神は涙したのにちがいなかった。

■ 憑神|浅田次郎|新潮社|200509月|ISBN4104394025

★★

《キャッチ・コピー》

時は幕末動乱の時代、人に仇なす厄介な神様にとり憑かれた貧乏旗本・彦四郎。窮地に立たされた男の選んだ、武士として人として、真実の生きる道とは。

memo

“小説の職人”浅田次郎を久し振りに読んだが、これはハズレ。

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