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奥田英朗■ 港町食堂

20060815minatomatiokuda

おかあさんたちの話の通り、十時を過ぎてから漁船が次々と帰ってきた。なにやら壮観。船体が色とりどりで、景色が一気に華やぐのだ。わたしまで「おかえりなさい」といいたくなった。自分の夫の船が見えると、妻が腰を上げ、小さなリヤカーを引いて岸壁で待ち構える。

いいなあ、こういう生活。旅人の感傷かもしれないが、わたしはシンプルな生活に憧れる。漁が済めば、否応なく一日が終わる。一杯飲って、あとは寝るだけ。これが正しい人生だ。だいたい「生きがい」だの「自分探し」だのというのは、現代病の一種である。

「みんなが主役」などとマスコミが甘言をささやいた時点で、人は新手の悩みを抱えるようになった。自分なんか勘定に入れるなよ。何様のつもりだ。

■ 港町食堂|奥田英朗|新潮社|200511月|ISBN4103003510

★★

《キャッチ・コピー》

N木賞受賞でさらに多忙に、もっとワガママになった自称“品川イチの偏屈作家”を待ち受ける受難の数々。毒舌炸裂、阿鼻叫喚、トドメに感涙必至の紀行エッセイ。

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