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仲間秀典■ 開高健の憂鬱

20061017kaikounakama

平野栄久は、開高が高見順を論じた「高見順伝」(『現代日本文学館39高見順・伊藤

整』)の一文

「高見順はたくさんの長篇、中篇、短篇を書き、〔略〕

……食道ガンになり、五十八歳で死んだ。

たえまない回転。停止することをひたすら恐れる恐怖そのものからくるたえまない回転。書きつづけ、喋りつづけ、読みつづけ、飲みつづけ、旅しつづけた生涯」

を引用し、作家としての資質が異なり、文学的影響を受けた様子のみられない高見に、開高が自己の姿を投影しているのは、二人が共有する「子宮願望」であろうと推量する(『開高健 - 闇をはせる光茫』)。

高見順と開高の生涯には類似点が多く、当時四十代の開高が書いた「高見順伝」は、

高見の一生に重ね合わせてそれまでの自己を回顧し、さらに二十余年後までの自らを予測したような印象を受ける。

とりわけ、食道がんという死因と五十八歳という死亡年齢の一致は、なんとも信じ難い事実である。

――「開高の性格類型(構造)

■ 開高健の憂鬱|仲間秀典|文芸社|2004 04月|ISBN483556894X

★★

《キャッチ・コピー》

「輝ける闇」を作風の分岐点と捉えると、病跡学的にはその間に彼自身の精神内部に変調が起こったことが推測される…。医師の目から見た開高健。その病跡と作風の関係を探った画期的な書。

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