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池内紀■ 町角ものがたり

20060930matikadoikeuti

スロヴェニアの首都リュブリャーナは、とてもいい町だ。世界でもっともすてきな首都だろう。人口は二十七万。人間が暮らすのに、ちょうどいい。

都市の大きさや人口を競うなどつまらない。町が一定の規模をこえると、人を困惑させ、迷わせ、疲れさせる。その大きさ、人の多さが暴力となって威嚇してくる。

この点、リュブリャーナは、ぴったり人間の背丈に合っている。城山には小づくりの城、ゆるやかに川が流れ、これをはさんで一方は旧市、他方は新市。川の西にあたる新市には、十九世紀末に流行したアール・ヌーボー様式の建物が軒を並べている。

当時、大地震があって大きな被害を受けた。再建にあたり、市当局は粋な決定をした。新しい町づくりの設計を若い建築家にゆだねた。そのためアール・ヌーボー・スタイルの市街ができた。

以来一世紀がたち、かつての新様式が、いまやまるで夢の建物のような雰囲気をたたえている。

―― 「リュブリャーナの洞窟

■ 町角ものがたり|池内紀|白水社|200409月|ISBN4560049963

★★★

《キャッチ・コピー》

ガイドブックが教えてくれないヨーロッパの小さな“町角”を、ゆったり歩く「池内流」大人のひとり旅。

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