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堀江敏幸■ 回送電車

20060827kaisouhorie

以前、小著のなかで、私はムーミン・シリーズに登場する放浪の詩人、スナフキンヘの憧憬をつづった。

定住を嫌い、人に媚びることを嫌い、それでいてムーミン谷の仲間から慕われるスナフキンのような存在に、どうしたらなれるのか。ながいあいだ、私は『スナフキンの思想』と題する本を書きたいと夢見ていた。〔略〕

しかしその後、関連書をあさっているうち、ヤンソンの原作ではスナフキンという名が存在しないと教えられて、私は愕然とした。あの奇妙に心地よい音は、英訳からの転用だったのだ。〔略〕

ちなみに、仏語訳でのスナフキンは、ルナクレリカン。筋も挿絵もおなじなのに、これではべつの物語を読んでいるようだ。スナフキンがスナフキンと呼ばれているからこそ、私は彼を愛したのだろう。

「猫のいる風景」

■ 回送電車|堀江敏幸|中央公論新社|200105月|ISBN4120031454

★★

《キャッチ・コピー》

「あらゆる既成概念からの自由」を保ちつつ、言葉というもの、文学というものについて、犀利な批評家精神と深い愛情を持って語る。

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