« 久世光彦 ■ 私があなたに惚れたのは | トップページ | 関川夏央 ■ 白樺たちの大正 »

小林信彦 ■ 昭和の東京、平成の東京

20060605kobayashitoukyou

浅草生れの石川淳は、同郷の久保田万太郎をひどいハニカミ屋だったと書いているが、

総じて下町の人間はなぜトッツキが悪くムスッとしているのか。毒舌を吐くのか。

それらは、すべて、テレ、ハニカミのせいのようである。恥しいので、ようでもないことを喋りまくり、そのような態度に、たちまち自己嫌悪、いや気がさしてムッツリしてしまう。

これは下町の人間が、主として東北や新潟出身者の子孫だからではないか。どこか暗く、減亡のうたをうたいがちなのは、そのせいだと思う。谷崎が反発を感じて関西に去ったのも、束京人のこのような気質――律義さの裏にある因循姑息なもの――への嫌悪ゆえのようである。

そのように心弱い人間が、他人に傷つけられず、他人をも傷つけぬために長いあいだかかって作りあげたのが東京弁ということになりはしまいか。

『昭和の東京、平成の東京』小林信彦|筑摩書房|200204月|ISBN448081440X

★★★

《キャッチ・コピー》

昭和の匂いも薄れた東京に残っているものは?  変貌する町・東京を、日本橋に生まれ、青山や六本木で青春時代を過ごした著者が回想する。

|

« 久世光彦 ■ 私があなたに惚れたのは | トップページ | 関川夏央 ■ 白樺たちの大正 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 小林信彦 ■ 昭和の東京、平成の東京:

« 久世光彦 ■ 私があなたに惚れたのは | トップページ | 関川夏央 ■ 白樺たちの大正 »