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角川春樹 ■ わが闘争――不良青年は世界を目指す 

20060517kadokawaharuki

なぜおれが会社の規模を大きくしない、社員数を少ないままにすることにこだわっているのかと言えば、それには理由がある。

好きな歌手の中鳥みゆきに「帰省」という曲がある。その中の一節に「人は多くなるほど物に見えてくる」という歌詞がある。

まだ角川書店の社長時代であるが、当時、伊藤忠の特別顧問だった瀬島龍三さんを訪ねて、会社に行った。ちょうど出勤時間と重なって、伊藤忠のOLやサラリーマンとエレベーターで一緒になった。

彼らを見ると、誰一人として、人間の表情をしていない。まさに「物」だったのだ。そのときおれはゾッとした。あのような大企業になると、人は人間の表情を失っていくと思った。

大企業になるほど、その中で働く人間が物になっていく。すると、「私はここで働いているんだ」という意識などなくなっていく。もちろん、人生を「ゲームとして楽しむ」などという余裕もない。

組織が大きくなると、一人ひとりのキャラクターが生きなくなる。そこで考えたのは、一人ひとりの個性が生かされるのは、せいぜい五十人以内の組織ではないかということだった。

そんな思いがあったのだが、それを中島みゆきが、ズバリと歌詞にしていたのだ。改めて、おれは、人間を生かす組織の適正人数を考えざるをえなかった。だから、おれは角川春樹事務所の社員数を絶対に五十人以上にはしないと決意している。

それは、社員にも、仕事を通じて、おれのように人生を楽しんでもらいたいからだ。

■ 『わが闘争――不良青年は世界を目指す』 角川春樹|イースト・プレス|20056月|ISBN4872575660

★★

《キャッチ・コピー》

日本で最高の「カリスマ」と呼ばれる男が、2年5ヵ月3日間の刑務所生活から生還した。角川書店時代の父との確執、「出版革命」と称された経営術、麻薬事件、社長追放劇、そして弟との決別…。波瀾の人生のすべてを語る。

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