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小島 政二郎 ■ 俳句の天才―久保田万太郎

20060527kubotakojima

終戦

何もかもあつけらかんと西日中

終戦の日を、俳句にした人がいるだろうか。私は万太郎のほかに一人も知らない。

あの日の悲しみ、途方に暮れた落胆、「あつけらかんと」と「西日中」に圧縮した彼の詩魂に私は圧倒された。「何もかも」も、「あつけらかん」も、「西日中」も、みんな東京人の俗語だ。

あの大きな敗北の光景を、東京人の俗語だけで描き出した万太郎の腕前に、私は舌を巻いた。事実、「あつけらかん」としか云いようがなかった。「何もかも」だった。事実、「西日中」だった。

その俗語がみんな生きて、呼吸しているではないか。悲しみの表情を浮かべて、途方もない大きなスケールを持って、溜息をついて、唯あっけらかんとして――

同じ日に―― 終戦の日に、万太郎は次のような句を作っている。

八月二十日、燈火管制解除

涼しき灯すゞしけれども哀しき灯

『俳句の天才―久保田万太郎』小島 政二郎|彌生書房|198006月|ISBN:4841504729

★★★★

《キャッチ・コピー》

俳句は写生ではない抒情詩である。芭蕉の詩学を継承して俳句を抒情詩に甦らせた万太郎俳句の魅力を、歯切れのいい語り口でたっぷりと玩味する。

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