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■ 小西甚一『俳句の世界――発生から現代まで』

20060419konisihaiku

ツクヽヽボーシツクヽヽボーシバカリナリ

にいたっては、批評の圏外に在る。

子規の悲惨なしかも不屈の闘病生活を知る人、とくに眼のあたりその実情に接した人などは、かれの悲劇的な苦闘に感動のあまり、作品まで無条件に感歎したがる。

しかし、重病の床で年に五百も六百も作って、それがことごとく名句であるとは、子規がいかに超人的非凡さに恵まれた天才だとしても、無理なはなしですよ。三十六歳の生涯に俳句だけで一万八千余句を生産するといった行きかたで、そんなに名句ばかり出るものですか。

子規は偉い。それを否定するのではない。しかし、かれの偉さは、むしろ理論においての偉さで、作品では、かならずしも偉人ではない。〔略〕

「俳句は文学の一部なり」、この一語だけでも子規は、俳句史上に燦然と輝く偉人なのである。平凡な句まで無理に非凡化しなくても、充分に偉いのである。

■ 小西甚一『俳句の世界――発生から現代まで』19951月・講談社学術文庫・ISBN 4061591592

★★★★★

《キャッチ・コピー》

俳句鑑賞に新機軸を拓き、俳句史はこの1冊で十分と絶賛された不朽の書。

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