藤原審爾 ■総長への道(前篇)(後篇)(番外篇)
「やくざってものは、そうでなくっちゃいけねえンですよ。人間の屑で、ろくでなしなんですよ。
こんなものは、はやくなくなってしまうのが、世の為なんですよ。
そこが大根(おおね)のことで、それをちゃんと知ってるから、命を賭けやすいんですよ。度胸ばかりで命を賭けるのは、自棄(やけ)ってことでね。
それも時と場合ですが、しかしねえ、そこのところを恥じていなきゃ、人間の屑だと思ってなきゃ、まともに、表を歩けませんぜ。馬鹿じゃねえンですからね。
だから商売でもしてもちっとらくに暮そうと、人並のことを考えるのが、恥しくてね、許せねえんですよ」
■『総長への道』藤原審爾|前篇・後篇・番外篇|角川書店|1980~1983年旧版文庫|ISBN:4041257131・404125714X・404125728X
★★★
《キャッチ・コピー》
激動の昭和初期。急速に発達する資本主義の波にのまれ、やくざは一介の暴力団と化しつつあった。自分をおしころしても仁義に生きるか。それとも、力だけを頼りに人を従えていくか。「男とは何か」を現代に問う、任侠小説の白眉。
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